共通テスト「情報Ⅰ」で出題される内容とは?~試作問題の分析を踏まえて~
Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
Z会ソリューションズでは、中学・高等学校の先生向けに教育情報を配信しています。大学入試情報、文部科学省の審議会情報をはじめ、先生方からお伺いした教育についてもご紹介します。
2025年度(令和7年度)の共通テストから、新たな科目として「情報Ⅰ」が加わります。「情報Ⅰ」では、どのようなことが問われるのでしょうか。そして、どのような対策が有効なのでしょうか。今回は、大学入試センターから発表されている試作問題などの分析と、その分析を通して私たちが教材作成において意識していることをお伝えします。
試験の基本情報と問題作成方針
大学入試センターから発表されている「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項 」によると、「情報Ⅰ」の試験時間は60分、配点は100点満点です。そして、同じく大学入試センターから発表されている「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針 」では、「情報Ⅰ」の問題作成の方針について
社会や⾝近な⽣活の中の題材、及び受験者にとって既知ではないものも含めた資料等に⽰された事例や事象について、情報社会と⼈との関わりや情報の科学的な理解を基に考察する⼒を問う問題などとともに、問題の発⾒・解決に向けて考察する⼒を問う問題も含めて検討する。
と記載されています。ここでのポイントは
ポイント① | 「社会や⾝近な⽣活の中の題材」や「既知ではないものも含めた資料」が扱われること |
ポイント② | 「情報社会と⼈との関わりや情報の科学的な理解を基に考察する力」と「問題の発⾒・解決に向けて考察する⼒」が問われること |
の2つです。これらのポイントに沿った出題がどのようなものか、2022年(令和4年)11月に発表された試作問題 をもとにお伝えします。
試作問題から読み取れる出題の特徴
試作問題は大問4問構成でした。各大問の配点や主な内容は次の通りです。
設問 | 配点 | 設問数 | 主な内容 | |
---|---|---|---|---|
第1問 | 問1 | 4 | 2 | (1) 情報社会の問題解決 SNSやメール、Webサイトなどを利用する際の注意点や情報の信ぴょう性の判断 |
問2 | 6 | 2 | (4) 情報通信ネットワークとデータの活用 通信データ(パリティビット)の誤り訂正の仕組み |
|
問3 | 6 | 3 | (3) コンピュータとプログラミング 演算処理を実現するための真理値表と論理回路 |
|
問4 | 4 | 2 | (2) コミュニケーションと情報デザイン 情報デザインの考え方と「究極の5つの帽子掛け」 |
|
第2問 | A | 15 | 4 | (1) 情報社会の問題解決/(2) コミュニケーションと情報デザイン 二次元コードの仕組み・特徴と規則性がテーマ。 目印が正方形である理由、二次元コードの大きさと復元能力の関係、文字列と二次元コードの関係など。 |
B | 15 | 5 | (3) コンピュータとプログラミング 模擬店の待ち状況をテーマにしたシミュレーション。 シミュレーション結果を図示したものの読み取り、客への対応時間を変化させた場合の結果を表す図の選択。 |
|
第3問 | 25 | 14 | (3) コンピュータとプログラミング 買い物における硬貨の枚数に関するプログラミング。 関数の使い方、最小値を求めるアルゴリズムの考察など。 |
|
第4問 | 25 | 6 | (4) 情報通信ネットワークとデータの活用 スマートフォン・パソコンなどの使用時間と睡眠の時間・学業の時間の関係がテーマ。 分析できない仮説や相関関係、外れ値の判断など。 |
たとえば、第1問の問4は、情報を整理・分類するための5つの基準を示した「究極の5つの帽子掛け」が題材でした。この問題の特徴は、5つの基準が何かという専門的な知識ではなく、5つの基準を明示した上で、鉄道の路線図などの身近な題材がどの基準によって整理・分類されているかが問われたことです。ポイント①で挙げた「社会や⾝近な⽣活の中の題材」と「既知ではないものも含めた資料」を結びつけて考察する、まさに問題作成方針に基づいた出題といえるでしょう。
また、第3問は、硬貨の支払い枚数と釣り銭の枚数の合計を少なくするプログラムが題材でした。釣り銭の「上手な払い方」を実現するためにプログラムの処理や演算を考察する流れで、ポイント②で挙げた「情報社会と⼈との関わりや情報の科学的な理解を基に考察する力」と「問題の発見・解決に向けて考察する力」が問われています。
全体的に、知識そのものを問う出題はあまりなかった一方で、身近な題材に関する考察などを60分で効率よく行う必要がありました。したがって、共通テストに対応できる力を身につけるためには、教科書で扱っているような基本的な知識を身につけたあとに、模試形式の演習を通して、限られた時間の中で身近な題材と得られた知識や考察の結果とを結びつけられるようにすること(ポイント①・②への対応)が特に有効です。
「情報Ⅰ」教材作成において意識したこと
2024年8月発刊の『2025年用 共通テスト直前トライアル全教科セット』の「情報Ⅰ」では、これまでの分析を踏まえて作成した問題を掲載しています。作成にあたっては、共通テスト本番に少しでも近づけるよう、以下の3点を特に意識しました。
1つ目は、身近な題材における判断や問題解決の場面を扱ったことです。さらに、具体的な改善策について考察する問題も取り入れ、思考力や判断力が問われるような内容にしました。
2つ目は、解答解説をできるだけ詳しくしたことです。特に、判断の根拠や考察のポイントがわかるようにするために、正解ではない選択肢についても「なぜ正解ではないか」を示し、「情報Ⅰ」の学習内容が身近な題材での判断にどのように活きるのかにも触れるよう心掛けました。
3つ目は、共通テスト本番での出題に幅広く対応できるように、やや発展的な内容を含む問題も掲載したことです。本番で高得点を目指す生徒の皆様の想いに応えられるようにしました。
共通テスト「情報Ⅰ」の対策に、『共通テスト直前トライアル全教科セット』を活用していただければ幸いです。
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2025年用 共通テスト直前トライアル 全教科セット
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