共通テスト国語、新課程での変更点と盲点をひもとく ~『ベーシックマスター国語』シリーズ~

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Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
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2025(令和7)年1月実施の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)から国語も新課程に基づいた出題形式に変更されます。センター試験から共通テストに変わった時に国語は大問数や試験時間の変更はありませんでしたが、2025年1月実施の共通テストから新課程を踏まえて大問数・試験時間が変わります。今回、共通テストにおける国語の変更点を解説した上で、Z会ソリューションズから2025(令和7)年度用として2023(令和5)年10月に改訂した『ベーシックマスター国語』シリーズの改訂ポイントと制作意図をお話します。

2025(令和7)年度実施の共通テスト国語の変更点と盲点

新たな大問と試験時間の追加、配点内訳の変更

2025(令和7)年度実施の共通テストから、国語は大問が1問追加され、「近代以降の文章」が従来の2問から3問に変わり、「古典」が2問という全5問構成となります。試験時間は10分延びた90分に変わり、配点の内訳も「近代以降の文章」の3問は110点、「古典」の2問は90点(古文・漢文各45点)に変わることが公表されています。

従来の共通テスト
大問 配点(200点満点) 時間
第1問「近代以降の文章(論理的文章が中心)」 50点 80分
第2問「近代以降の文章(文学的文章が中心)」 50点
第3問「古文」 50点
第4問「漢文」 50点
2025(令和7)年度の共通テスト(2023年6月大学入試センター公表資料をもとに作成)
大問 配点(200点満点) 時間
第1問「近代以降の文章」 110点
*2022年11月の大学入試センターの試作問題・資料では第1問45点、第2問45点、第3問20点の構成を提示しています。
90分
第2問「近代以降の文章」
第3問「近代以降の文章」 新設
第4問「古文」 45点
第5問「漢文」 45点
各大問の時間配分に一層対策が求められる

注意したいのは各大問の配点です。2023(令和5)年6月の大学入試センター公表資料では、各大問の配点について古文(第4問)、漢文(第5問)はそれぞれ45点と公表されていますが、近代以降の文章(第1問~第3問)は110点という公表に留まっています。つまり、第1問~第3問の配点内訳は確定していないということです。
先に公表された2022(令和4)年11月の大学入試センターの試作問題と資料では、配点の内訳として第1問45点、第2問45点、第3問20点としておりましたが、その際も変更の可能性があるとしています。
配点自体の内訳が変わる可能性は注視されますが、各大問の分量という観点で考えた場合、第1問~第3問では、ある程度の分量調整の入る余地があるといえます。ただし、共通テストの傾向や新設の第3問の試作問題を鑑みますと、いずれも時間に比して分量の多い試験になる可能性が高いといえましょう。
まとめますと、形式上では大問が1題増え、試験時間も10分延びただけに見えるかもしれませんが、各大問の分量調整の余地を考慮に入れると、90分という試験時間の中で、各大問の時間配分を適切に計画することが一層求められるといえます。

新設の第3問の予想に基づいた対策

2022(令和4)年11月に公表された試作問題では、新設の第3問の問題例として、複数の文章や図・グラフをもとにレポートを作成するという言語活動に基づく問題が出題されていました。
しかしながら、これらの問題はあくまでも試作問題であり、2025(令和7)年度に同様の形式の問題が出題されるという保証もありません。さらに試作問題以外の例も公表されていないことから、ある程度の予想に基づいた対策をする必要があります

新設第3問の特徴と『ベーシックマスター国語』の対応

試作問題の特徴:実用文と言語活動

2022(令和4)年11月に公表された第3問の試作問題では、文章量が2,000~3,000字程度で、複数の文章と、文章に関連する図やグラフなどの資料が用いられていました。特徴として、扱われた文章・資料の量が多く、テーマは気候変動や日本語の言葉使いなど身近なトピックでありつつも実用的な文章が色濃く見られました。さらに、それをレポートの形式で本文や資料を再構成してまとめる、すなわち、言語活動の過程を重視した問題になっていました

『ベーシックマスター国語』では?

上記の特徴を踏まえて予想問題を準備しています。ただし、最初から試作問題のような多くの資料を読ませるのではなく、徐々に資料の多さに慣れていくことを主眼としています。テーマは遺伝子研究の倫理やメディア、食育など、出題が予想される現代社会の問題を中心に据えました。実用的な文章を含めた資料に慣れていきながら、問題を解くことで必要とされる力をのばす構成にしています。

『ベーシックマスター国語』の例1 実用的な文章とレポートの設問
『ベーシックマスター国語』の例1

第3問対策で必要なこと

試作問題では、設問は5つ程度であり、資料の読み取りや解釈、レポートの作成を想定した設問などで構成されていました。レポートの作成を想定した設問があったことから、プレゼンの資料や掲示物なども想定されます。これらの設問の特徴として、各資料を別の角度から再考察することが求められています。対策としては、①資料から必要な情報をすばやく選ぶこと、②選び取った情報を正しく解釈し、関係づけることが必要になります。

『ベーシックマスター国語』では?

そもそも、一つの言葉やデータであっても、様々な角度から解釈が可能です。資料を単体で見るのではなく、別の資料と照合して「どのように読むことが求められているのか」を意識して取り組んでもらうことを目指しています。

『ベーシックマスター国語』の例2 掲示物とそれに関する指摘や助言を考察する設問
『ベーシックマスター国語』の例2

第3問以外の注意点と『ベーシックマスター国語』の対応

実用的な文章や、言語活動に基づいた設問が出題される

先に述べた第1問~第3問の分量調整の余地や、現課程の共通テストの出題傾向を鑑みますと、従来の大問についても、過去問題にはない様々な形式の出題が予想されます
特に注意したいのは、第3問の試作問題で目立っていましたが、実用的な文章や、言語活動に基づいた設問は第3問以外でも出題されるということです。出題範囲とされる「現代の国語」「言語文化」の教科書では言語活動が扱われ、現課程の共通テストでも、ノートの作成・生徒のディスカッションなど言語活動に基づいた設問や、広告を絡めた設問が出題されています。

『ベーシックマスター国語』では?

視覚資料や図を扱い言語活動に基づいた問題や、評論文と小説を比較した問題などを掲載して、あらゆる形式に慣れるようにしています。文章と文章、文章と図やグラフ、本文とレポートなど、複数の資料の「どこ」と「どこ」が「どのように」対応しているのか、「どのような関係」にあるのかを意識して読むことを目指しています。

『ベーシックマスター国語』の例3 文学的文章で視覚資料を扱った設問
『ベーシックマスター国語』の例3

設問のバリエーションが広がる 

分量調整の方向性としては、特に設問において調整されることが予想されます。現課程の共通テストでも、第2問の文学的文章では従来扱われていた語句問題をなくした出題や、各大問でも読解の一部の設問で選択肢を従来多く出題された5択の形式から4択の形式にするなどの調整がうかがえます。センター試験の時代において、設問の形式は概ね変わらない傾向がありましたが、今後は設問のバリエーションが広がることが予想されます。

『ベーシックマスター国語』では?

そのような分量の調整などで設問のバリエーションが広がる傾向を踏まえつつも、単純に設問分量を減らすということには慎重な姿勢をとっています。というのも、問題を作成する際、文章には「ここを問わなければならない」という箇所があり、それは複数の題材で出題される共通テストになっても変わりません。そこで問うべき要素を厳選して生徒の読解力をのばす設問を作成することを主眼として編集しています。

『ベーシックマスター国語』の例4 古文では、共通テストで狙われる和歌の問題を重視
『ベーシックマスター国語』の例4

新課程の共通テストに備えて

2025(令和7)年度以降に実施される新課程の共通テストでは、過去のセンター試験や現課程の共通テストから傾向が変わるため、過去問題にはないパターンも出題される可能性は十分にありえます。
さらに初年度は入試問題に関する情報が限られているため、予想問題を用いた対策が一層重要となります。『ベーシックマスター国語』のような予想問題を扱った教材を活用することで、あらゆる問題に慣れておくことが可能です。早期から準備することで、受験生がどんな問題にも対応できる力を身につけることを願っています。

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