共通テスト時代の「新」単語集 ~『英単語クリティカル+』~
Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
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共通テストの開始や入試英文の長文化傾向もあり、近年は情報量が多く、難単語も多く収録された厚めの単語集が人気を博しています。しかし、書籍に必要な情報が詰まっていることと、実際に覚えられるかは別の話です。2022年10月に刊行した『英単語クリティカル+』は、最新の入試傾向を踏まえて単語学習を効率的に、かつ確実に進められるような単語集を目指しました。
本記事では、近年の入試の語彙の傾向を踏まえ、『英単語クリティカル+』がなぜ効率的で、かつ確実に学習を進められる英単語集なのかについてお伝えいたします。
入試に登場する単語は「難化」しているのか?
近年の入試の長文化傾向に伴い、英語長文に出現する単語も難化しているという話を聞くことがあります。しかし、本当に難化しているのでしょうか。以下の表は2017年と2022年の大学入試の英語長文問題に登場した語を※CEFRレベル別に分類し、各レベルに属する単語の割合を算出したものです。
A1 | A2 | B1 | B2 | その他 | |
---|---|---|---|---|---|
2017 | 51.25% | 19.63% | 7.02% | 5.19% | 16.92% |
2022 | 50.43% | 19.80% | 7.58% | 5.16% | 17.03% |
※CEFR:Common European Framework of Reference for Languages(ヨーロッパ言語共通参照枠)の略で、言語能力の熟達度を測る国際的な尺度です。
※対象とした大学は『英単語クリティカル+』の単語分析対象校58校(主要国公私立大学)です。
※分析対象語数は2017年は407,138語、2022年は364,032語です。
意外にも、長文問題に登場する語彙のCEFRレベルの分布は2017年、2022年入試ともに同様の傾向です。もちろん多くの単語を覚えることが重要なのは言うまでもありません。一方で、入試に登場する語彙が極端に難化しているわけではないことを踏まえると、単語集のみで語彙の学習を完結させるよりも、「本当に重要な単語」をなるべく早めにおさえ、長文読解など入試を見据えた演習の中で語彙を補うことがより現実的だという見方もできます。
「入試標準レベル」にこだわり、情報量を絞った単語集
効率よく重要語に絞って学習できる英単語集を追求した結果生まれたのが『英単語クリティカル+』です。本書は一言で表すと「情報量を極限まで絞った、一歩ずつ確実に進められる単語集」です。入試の形式も多様化し、高校生の学習の負担も増える中で、英単語の学習に割ける時間は限られています。できるだけ多くの英単語を覚えることが望ましいのは確かですが、多くの高校生にとって、単語の語義や用法、派生語などの様々な要素を一度に覚えるのは難しいことです。
そこで、本書ではどの大学の入試を受ける場合にも絶対に必要になる重要語を約1,700語(関連語を含めると約2,500語)に絞り込みました。また、語義や単語の用法に関する情報も必要最小限に厳選しています。これにより、生徒の学習の負担感が軽減し、効率よく重要事項を学べる書籍になっています。また、多くの単語集では例文を掲載していますが、本書の例文は共通テストをはじめとした「入試標準レベル」にこだわっています。入試でよく出現するコロケーションを盛り込むことで、より効率的に入試レベルの語彙力を身につけられるようにしています。以下はその一例です。
本書掲載例文:
I pay approximately one fifth of my income as tax.
入試での実例:
Researchers in the field generally agree that approximately one third of adults maintain this behavior.(2023年共通テスト英語リーディング)
本書掲載例文:
The panda is probably the most famous endangered species.
入試での実例:
Listing the Asian elephant as an endangered species is a way to solve environmental problems.(2023年共通テスト英語リスニング)
さらに、紙面のレイアウトにもこだわりました。本書では英単語学習を「フレーズを用いた学習」→「例文を用いた学習」の2ステップ構成に分け、さらに、派生語や関連語の情報も単語が掲載されているページとは別のページに分けて掲載しています。見慣れない構成に見えるかもしれませんが、この「覚えるべき情報をスモールステップで確実に学べる構成」が本書の最大の特長です。
このように、消化不良に陥らない分量に絞り、1つ1つの重要事項を確実におさえていくことで、より効率的に英単語学習を進めることができます。情報量が少なく、早く1周できるため、英作文、長文読解などの他の分野の学習により早く進むことが可能になります。
持続可能な英単語学習を目指して
とはいえ、実際のところ単語学習を継続するのは大変です。生徒の自学自習にゆだねることも難しく、先生方による小テストや学習管理が必要になることが多いです。
そこで本書では、学校現場でより使いやすい単語集にするために、小テスト作成機能や周辺教材を充実させました。小テスト作成プログラムでは、単語、フレーズ、例文を使った空所補充問題、整序問題、和訳・英訳問題やディクテーションテストを含む全15種類の小テストを提供しています。また、中学レベルの重要語を書いて復習できる演習シートのデータも使用可能です。
また、本書で学習した英単語を文脈で定着させる『英単語クリティカル+ 読んで身につくリーディングドリル』『英単語クリティカル+ 聴いて身につくリスニングドリル』(いずれも別売)も用意しています。単語集本体に掲載の重要語を多く含む素材を使ったリーディング、リスニング問題に取り組むことで、単語の定着のみならず、リーディング、リスニングの学習にスムーズにつなげることができます。
大学入試に向けて英語を学習する上で最初の壁となるのが英単語学習です。『英単語クリティカル+』が大変な英単語学習を少しでも持続させるための、そして、英語学習を戦略的に進めるための一助になることを願っています。
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