【2026共通テスト数学】新課程2年目対策! ~2025年度分析と対策ポイント~

Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
Z会ソリューションズでは、中学・高等学校の先生向けに教育情報を配信しています。大学入試情報、文部科学省の審議会情報をはじめ、先生方からお伺いした教育についてもご紹介します。
2025年度の大学入学共通テスト数学は、新課程初年度ということもあり、多くの注目が集まりました。弊社では、大学入試センターの発表する情報や試作問題の分析に基づき、事前にお届けした教育情報(教育ジャーナル「共通テスト数学 新課程入試に向けて ~試作問題の分析結果、新課程共通テストの出題予想~」)にてその変更点と対策のポイントを提示してまいりましたが、1年目の実際の出題はどうだったか、これを踏まえて2年目はどのような対策をすればよいかをまとめました。
① 2025年度大学入学共通テスト 数学の概要
まずは、2025年度入試について、その概要をざっと振り返ってみます。
【数学I・A】
新課程で出題範囲から外された「整数の性質」がなくなり、すべての問題が必答となりました。問題の構成については、第1問、第2問は数学Iの単元からなる中問2題構成で、試作問題と出題された単元も出題順も同じでした。また、第3問、第4問では、第3問に「図形の性質」、第4問に「場合の数と確率」が出題されました。これも試作問題と同じでした。
大問ごとの配点は2024年度や試作問題から変更はなく、分量も大きな変化はありませんでした。
新課程で新たに追加された「外れ値」「仮説検定の考え方」「期待値」については、本試験ではすべて出題されました。これらは、追試験での出題はありませんでしたが、今後も新課程で追加された内容は重点的に対策が必要と思われます。
【数学II・B・C】
次に、数学II・B・Cでは、試験時間が70分となり、大問7題構成へと変更されました。第1問から第3問までが数学IIに関する必答問題、第4問から第7問までが数学Bおよび数学Cの4題から3題を選択するという形式で試作問題と同じでした。ただし、試作問題の第7問は中問2問構成で「平面上の曲線」と「複素数平面」がそれぞれ出題されていましたが、本試験では大問構成で「複素数平面」のみの出題となりました。また、追試では大問構成ながら「平面上の曲線」と「複素数平面」の融合問題が出題されました。
配点や分量については試作問題と同様で、微積分や選択問題について、新課程の内容に合わせて微調整が行われました。
また、新課程の内容について、数学II・B・Cの本試験では、「仮説検定」が出題されました。
【数学I・A、数学II・B・Cに共通すること】
2024年度に引き続き、前の設問の解答が正しくないと後続の設問が採点対象とならない配点の問題が出題されました。
また、共通テストではお馴染みとなっている「具体的な実社会の事象を数学的に解釈する問題」や、「複数の登場人物の会話から情報を読み取り、考察を進める問題」は引き続き出題されました。ただし、2024年度からの傾向として、会話文の分量は抑えられ、設定も比較的簡素化されており、計算量も全体的に控えめでした。
2025年度の共通テスト数学は、弊社の事前の分析と予想に沿った形での出題でした。そのため、弊社の共通テスト対策教材の学習で十分な結果が得られたのではと思っております。
② 2025年度大学入学共通テスト数学で差がついたポイント
次に、2025年度入試を分析し、受験生の対応力に差がついたと思われるところをまとめました。ご指導の際にすでに意識されている部分もいくつかあるかとは思いますが、改めて大切なポイントを確認してみます。
■誘導の意図を正しく捉えることができたか?
共通テストの問題では、先行する設問の解法や結果が後続の設問を解く上での重要なヒントとなっていることが多いです(いわゆる「振り返り」を意図した誘導)。
数学I・Aの本試験第1問[1]「数と式」では、(1)と(2)で類似した方程式を扱うため、(1)の解法を(2)に応用する流れがとれました。また、数学I・Aの本試験第1問[2]「図形と計量」の(2)では、(1)を活用することは明示されているものの、(1)の活用法についてのヒントが少なく、自力でそれを見出す必要のあるやや難しい問題になっていました。
数学II・B・Cの本試験第1問「三角関数」では、(1)と(2)の方程式の形が似ている点に着目し、(1)の流れを(2)で活用することがポイントでした。数学II・B・C本試験の第6問「ベクトル」では、(2)で行った具体的な値での考察が、(3)の一般的な考察への足がかりとなることを見抜く必要があり、第7問「複素数平面」でも、(3)(i)の結果を(3)(ii)、(iii)で活用することが高得点に繋がりました 。
このように、各設問を独立したものとみるのではなく、出題者の意図する思考のステップが背景にあるものとして捉え、その意図を見抜くことができたか否かで差がついたと言えるでしょう。
■長い文章から数式化に必要な情報を抜き出すことができたか?
共通テスト特有の、日常の事象を扱った問題や、複数の登場人物による会話文形式の問題では「長文の中から必要な情報を的確に抽出し、数式へ落とし込む能力」が求められます。
数学I・Aについて、本試験第2問[1]「二次関数」では、噴水の水の軌跡を考察するにあたり、問題文中の「仮定」を正確に把握して、放物線の式を作れるかどうかで出来がわかれました。
また、数学II・B・Cについて、本試験第2問「指数関数・対数関数」では、問題の設定や目的を正確に理解し、それを数式で表現できるかが問われました 。
数学の問題でここまでの長文を読む必要があるのは共通テスト以外では少なく、共通テストの傾向を踏まえた長文問題に触れる機会を確保して、長文を正しく読み解く練習を積んでおくことが大切です。
■幅広い内容を学習してきたか?
2025年度の共通テストでは、ここ数年取り上げられなかった題材の問題がいくつかありました。
数学I・Aでは「空間図形」が目を引きます。数学I・Aの本試験第3問「図形の性質」では、空間内での直線や平面の垂直関係について問われました。多くの受験生が苦手とするところであり、高得点のカギとなる問題だったといえます。また、追試験の数学I・A第1問[2]「図形と計量」でも、空間図形が出題されました 。
数学II・B・Cでは本試験第4問「数列」で格子点を題材とした問題が出題されました。個別試験では定番の題材ですが、共通テストでは初の出題でした。
ここ数年の傾向に沿った対策しかしていなかった人にとって、上記の問題は難しかったのではないでしょうか。最近の傾向にとらわれず、さまざまな題材の問題に幅広く取り組んでおくことが大切だと考えています。
■教科書レベルの問題を迅速かつ正確に処理する力はついているか?
思考力を要する問題に十分な時間を割くためには、基本的な計算や典型的な問題を手早く正確に処理する能力が不可欠です。思考力があったとしても、正確に処理ができなければ得点には結びつきません。
また、数学I・Aの「データの分析」や数学II・B・C「統計的な推測」に代表されるように、教科書レベルの問題が多く出題される場合もあるので、基本的な問題を確実に得点し、かつ迅速に処理することが高得点に繋がるといえます。とくに、新課程で追加された数学I・Aの「外れ値」や「仮説検定の考え方」、数学II・B・Cの「仮説検定」は教科書レベルの問題をきちんとこなせていれば十分得点に結びついたと考えています。
以上、差がつくポイントを4つ紹介しました。今後、共通テストの対策をする場合には、これらのポイントを十分に意識したうえで、取り組んでいただくのが効果的だと考えています。
③ 差がつくポイントが鍛えられるZ会の共通テスト対策
最後に、Z会の共通テスト対策教材(数学)をご紹介いたします。
『2026年用 パワーマックス共通テスト対応模試×8』『同 ×5』『同 ハーフ+フル』
共通テストの形式にあわせたオリジナル模試です。共通テスト特有の問題形式への対応力を徹底的に鍛えます。
- 誘導の意図を正しく捉える練習に最適:本番さながらの多様な問題に取り組む中で、設問間の繋がりや出題者の意図を読み解く「振り返り」の習慣を自然と身につけることができます。
- 共通テストの傾向に沿った長文問題:実社会の事象や会話文を題材とした、共通テスト特有の長文問題も豊富に収録。必要な情報を的確に抽出し、数式に落とし込む訓練を積むことができます 。
- 取り上げる題材が多彩:ここ数年の傾向を踏まえた出題に加え、近年出題がないテーマについても扱っています。多様な問題に触れることで、出題傾向の変化にも動じない対応力を育成します。
- 回数や納品形態が選べます:8回セット、5回セットに加え、授業時間に収まるハーフサイズの模試を含むセットもご用意があります。また、必要に応じて1回ごとに冊子をわけて納品(バラ納品)することも可能です。
『共通テスト分野別演習 数学I・A/II・B・C』
分野別(単元別)に構成された、共通テスト対策の問題集です。教科書レベルの問題の確認からはじまり、共通テスト特有の問題に対する基礎固めまで段階的に取り組めます。
- 教科書レベルの重要問題を再確認:「要点整理」で基本事項を整理し、「練習問題」で教科書の典型的な問題の確認をします。共通テスト形式の問題に取り組むための土台を築きます。
- 長文問題の導入にぴったり:「実戦問題」では、共通テスト形式の演習をします。出題内容は共通テストの傾向に沿ったものですが、問題文は長くても見開きで完結する程度なので、共通テスト形式の導入としては最適です。
弊社教材を使って研鑽をつみ、共通テストを無事に乗り切ってほしいと願っております。是非、こちらの教材の活用をご検討ください。
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ドリル形式・分野別・模試タイプなど、
様々な対策問題集をご用意!
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