時代とともに進化する英単語集 ~「速読英単語シリーズ」誕生秘話~

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Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
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英単語集の定番となっている「速読英単語シリーズ」。
定番であるが故に、時代とともに進化し続けていることは、あまり知られていないかもしれません。
この3月に刊行した『速読英単語 上級編 改訂第5版』(以降、『上級編第5版』)も、近年の大学入試の傾向や時代のトレンドを踏まえ、より効率的に学習が進められるよう、進化を遂げています。

本記事では、「速読英単語シリーズ」の誕生秘話を紹介するとともに、進化を遂げた『上級編第5版』の改訂ポイントをお伝えいたします。

「速読英単語」シリーズはどのようにして誕生したのか

「速読英単語シリーズ」は、著者の風早寛先生と当時の編集担当が、英単語集のあるべき姿について議論を重ねていく中で辿り着いた、英単語学習の「理想と現実」が企画の出発点となっています。

①「生徒は何のために英単語を覚えるのか」
英単語は、英語のあらゆる能力の土台となる、非常に重要なものです。しかし、大学受験のために英語を学んでいる高校生にとって、「英単語を覚える意義」とは何かを突き詰めていくと、「英文読解のためである」という結論に行き着きました。大学入試において配点が高いのは、文法問題でも英作文問題でもなく英文読解問題であり、単語力が最も問われるのも英文読解です。したがって、生徒は英文読解のために多くの英単語を覚えているというのが現実といえるでしょう。

②「なぜ語彙増強と読解を別々に学習するのか」
英単語集は「単語を覚えるため」の教材であり、「速読英単語シリーズ」が誕生する以前の単語集は、単語に関する情報だけがまとめられたものになっていました。しかし、「単語を覚えるのが英文読解のためなのであれば、単語学習と読解学習を一緒に行えば、一石二鳥ではないか」と考えるのは自然なことでしょう。読解練習をしながら単語を覚えるのが、理想の英単語学習であるといえそうです。

このような英単語学習の「理想と現実」を念頭に、英単語集のあるべき姿を追求した結果生まれたのが、「英文を読み、文脈の中で単語を覚える」という、他の英単語集とは一線を画したコンセプトをもつ「速読英単語シリーズ」だったのです。

しかし、「英文を読み、文脈の中で単語を覚える」というコンセプトを実現するのは容易ではなく、その制作には他の単語集にはない困難がありました。

「英文を読む」という作業は、特に初学者や英語が苦手な生徒にとってはハードルの高いものです。そのような生徒にも「これならぜひ読んでみたい」と思ってもらえるよう、掲載する英文は、大学入試で出題されたものの中から「知的好奇心をくすぐるもの」「時代を反映した、ぜひ知っておきたい内容を含むもの」を厳選することにしました。そのために、莫大な量の大学入試英文を読み、その中から生徒にぜひ読んでもらいたいものを選ぶのですが、せっかく選んだ英文が、著作者から許諾が下りずに使用できないこともあり、収録する英文が決定するまでに非常に長い時間がかかるのです。

また、収録する単語の掲載順を決めるのにも、他の単語集にはない困難がありました。収録する単語はある程度決まっていますが、それをどのように掲載するかは、英文が決定するまでは決められません。また、英文が決まった後も、収録単語を限られた紙幅の中で、いかに記憶に残りやすい形で掲載するかを考える必要があり、その検討に非常に頭を悩ませることになります。これは、一般的なリスト型の単語集にはない作業で、「速読英単語シリーズ」独特の困難といえるでしょう。

このような困難を乗り越えて、「速読英単語シリーズ」は世に送り出されました。これまでに非常に多くの方にお使いいただき、英単語集の定番となったのは、他の単語集とは一線を画すコンセプトと、より楽しく、より効率的に単語を学べるように考え抜いた工夫が実を結んだものと考えております。

常に時代の最先端を行く、進化し続ける単語集

「速読英単語シリーズ」は、発刊から30年ほどが経過していますが、大学入試の傾向や時代のトレンドを踏まえ、改訂のたびに進化を続けています。3月に刊行された『上級編第5版』も、様々な点で進化を遂げています。

『上級編第5版』の最大の改訂ポイントは、これまで別売CDで提供していた音声が、無料でダウンロード・ストリーミング再生できるようになった点です。各ページに掲載されている二次元コードをスマートフォンなどで読み取れば、気軽に英文や単語の音声を聞くことができます。これは、時代の変化に合わせた進化といえるでしょう。

また、大学入試の変化に合わせた進化として、接頭辞・接尾辞から単語の意味を推測する練習ができるコラムの新設が挙げられます。近年の大学入試では、出題される英文が難化しており、さらに、難しい語に注が付かないことも増えているため、未知語(知らない単語)に出会う可能性が高くなっています。各英文に付いている未知語の推測問題に加え、新設のコラムで未知語の推測トレーニングを積むことで、未知語が出てきても、意味を推測しながら読み進める力を身につけることができるでしょう。

さらに、巻末に掲載していた英文解説を本体から切り離し、白文(下線・太字などを取り除いた英文)とセットで掲載した別冊「速読トレーニングブック」を用意しました。この別冊を活用すれば、単語を覚えた後に、速読に特化したトレーニングを行うことができます。このように、使い勝手の面でも進化を遂げています。

このような新たな工夫はもちろん、本体の内容も進化しています。大学入試で出題される英文の難化を受けて、見出し語を900から1,200に増強しました。また、近年の入試頻出テーマなどを分析して、約半数の英文を差し替えました。「プラスチックが健康に与える影響」「電子決済が幸福感に与える影響」などの近年の話題を踏まえたものや、「発音と食事の関係」のような英語学習者なら気になるトピック、「仕事を喜びにするには」のような、将来社会に出る若者に向けたメッセージなど、幅広い内容の英文を読むことができます。そのほか、紙面の見やすさも向上しており、内容においても、使い勝手においても、時代の最先端を行く単語集にふさわしい完成度になっていると自負しております。

「速読英単語シリーズ」だからできる、時代に合わせた進化

このような、大学入試の傾向や時代のトレンドを踏まえた進化は、「英文を読み、文脈の中で単語を覚える」をコンセプトとする「速読英単語シリーズ」だからこそできることといえるでしょう。「速読英単語シリーズ」は、企画の理念を大切にしつつ、学習者にとって何が必要なのか、どうすればより効率的に英単語を学べるかを常に追求してきました。その最新の進化版である『上級編第5版』を、ぜひ一度手に取ってご覧ください。

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