英文法をカギに書き手のメッセージに迫る ~「テオリア」シリーズがめざすもの~

Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
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2021年10月の刊行以来、「英文読解教材の新たな定番」との評価を得つつある「テオリア」シリーズ。『英文解釈のテオリア』『英語長文のテオリア』に続き、2023年7月にはシリーズ入門編となる『基礎英文のテオリア』が刊行され、学習段階に合わせて選べる英文読解教材シリーズになっています。本記事では、「テオリア」シリーズが何をめざして作られ、類書とどのような点が異なるのか、そのコンセプトを紹介いたします。
英文法から書き手の〈メッセージ〉に迫る
「英文法は英文読解に役立つと言われるけれど、どのように役立つのか、いまいちぴんとこない…」 英語を学習していて、このように思ったことはないでしょうか。例えば、英文法では冠詞の使い分けについて学びますが、英文読解で「ここでaではなくtheが使われているのはなぜだろう」「ここで名詞が無冠詞で使われているのはなぜだろう」と考えながら読むことは、あまりないかもしれません。たしかに、文脈などから「何となく」わかり、全体の意味が「何となく」わかれば、大きな問題はないでしょう。
しかし、aではなくtheを使っているのは、あるいは名詞を無冠詞で使っているのは、書き手が何らかの意図をもって行ったことであり、それを読み流してしまうと、書き手がその文に込めたメッセージを誤って解釈してしまう可能性があります。伝えたい内容に合わせて使う単語を選ぶのと同じように、文法も伝えたい内容に合わせて選ばれているのです。
そのことを意識し、英文法から書き手のメッセージに迫る習慣をつけることで、英文を「何となく」読むのではなく、「書き手の思いに寄り添って」読む、言い換えれば英文を「正確に」読む姿勢を身につけてほしい。そのような思いをもとに、英文法と英文読解をつなげる架け橋となることをめざして、「テオリア」シリーズは誕生しました。
ちなみに、「〈a+名詞〉か〈無冠詞の名詞〉か」によって起こる問題については、『英文解釈のテオリア』の第5課で、人類初の月面着陸を果たしたアームストロング船長のことばをもとに解説しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
〈直読〉の感覚を追体験する
「テオリア」シリーズは、各書とも以下の流れで学習する構成になっています。
- 英文法の重要ポイントを学ぶ
- 1. で学んだポイントが、英文の中でどのように活かされているかを確認する
1. では、一般的な文法参考書や文法問題集で学ぶことを確認するとともに、その文法が文中で使われた場合、どのようなニュアンスを表すことができるのかについて踏み込んで解説しています。この解説を読むことで、英文法がどのように英文読解につながっているかを意識することができます。
2. では、1. で学んだことを実際の英文を使って確認します。英文については、1. で学んだポイントはもちろん、全文にわたってくわしく解説していますが、解説でこだわったのが、「英文を読む〈過程〉を見せる」ことです。一般的な英文読解教材は、「このかたちはこのような意味を表す」のように、英文のポイントを〈結果〉として示しているものがほとんどです。この方法は、ポイントを簡潔に学ぶことができる一方、〈結果〉だけを見て満足してしまい、文中でそのポイントが出てきたときにどのように見つけ、どのように読み解くかという〈過程〉、あるいは〈応用〉の部分がおろそかになり、結果的に学んだ知識が実際の読解に活かせないという恐れがあります。そこで、「テオリア」シリーズでは、「述語動詞にこの動詞が使われているから、あとにはこのかたちが続くな」や「文の最初に前置詞が来ているから、前置詞句のあとに主語になる名詞が来るな」のような、英文を左から右に読んでいく〈過程〉を説明しています。この解説を読むことで、英語をすらすら読める人が頭の中で行っている、いわゆる〈直読〉の感覚を追体験することができ、文法のポイントとあわせて英語を読むときの頭の働かせ方も身につけることができます。この点は、「テオリア」シリーズの大きな特長のひとつといえるでしょう。
〈リアルな英語〉を味わう
「テオリア」シリーズでは、扱う英文についてもこだわりました。一般的な英文読解教材では、大学入試で出題された英文を扱っています。「大学入試」が目標なので、そのような英文の選び方になるのも当然といえます。
一方で、「テオリア」シリーズでは、大学入試はもちろん、大学生や社会人になってからの英語の使用も視野に入れて、大学入試に出題された英文以外にも、ニュースやSNSの英文、さらには世界中の人たちに読まれている英語の小説を扱っています。
例えば、『英文解釈のテオリア』では、ニュースの一節やSNSの投稿、ネットショッピングの返品ポリシーをはじめ、『幸福な王子』や『不思議の国のアリス』などの有名な小説を扱っています。また、『英語長文のテオリア』では、新聞の社説やヘミングウェイなどの有名な作家の小説に加え、誰もが知っている『ハリー・ポッター』シリーズの英文も扱っています。
いずれも短い引用ですが、英米の人が読む英文の一部を味わう体験をすることは、あらゆるタイプの英語を読めるという自信に、さらには世界中の英語で書かれた書物や記事を読みたいという意欲につながります。英語で書かれた書物や記事を読めば、世界についてより多くのことを知ることができ、視野も広がっていくでしょう。「テオリア」シリーズは大学入試を目標とする高校生を主な対象としていますが、高校生には、大学入試にとどまらず、一生役立つ英文読解力を身につけてほしい。「テオリア」シリーズに掲載された英文には、そんな思いも込められています。
学習段階に合わせて選べる3つの〈テオリア〉
「テオリア」シリーズには、『基礎英文のテオリア』『英文解釈のテオリア』『英語長文のテオリア』の3つがあります。シリーズの入門編にあたる『基礎英文のテオリア』では、〈語順〉と〈品詞〉に注目し、1文の構造をしっかりと把握し、英文の意味を正確にとらえるトレーニングを行います。
シリーズの中核となる『英文解釈のテオリア』では、50~100語程度の英文をもとに、英文の構造と意味をとらえた上で、英文法をカギに書き手が英文に込めたメッセージに迫るトレーニングを行います。
シリーズの発展編の位置づけとなる『英語長文のテオリア』では、300~500語の長めの英文をもとに、英文法をカギに文章全体の内容を深く、正確に読み解くトレーニングを行います。この3冊でしっかりとトレーニングを積めば、大学入試はもちろん、大学生や社会人になっても使える真の英文読解力を着実に身につけることができるでしょう。「Z会の本」サイト内に「テオリア」シリーズの特設サイトを開設しているので、下記URLからアクセスし、各書の特長や紙面見本、著者からのメッセージや読者の声をぜひご確認ください。
英文法をカギに書き手の〈メッセージ〉に迫る! 『テオリアシリーズ』
https://www.zkai.co.jp/books/theoria/
「テオリア」とは、「眺めること」という意味のギリシャ語で、哲学では「事物の真理を理性的に知ろうとすること」(『日本国語大辞典』)を指します。「テオリア」シリーズから英文読解の一歩を踏み出し、英語を通じて世界のテオリア、つまり、世界を眺め、知ることの面白さを感じてほしいと願っています。
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