Z会のリスニング新シリーズ ~リスニング上達への5つの観点と学習・指導の可視化~
Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
Z会ソリューションズでは、中学・高等学校の先生向けに教育情報を配信しています。大学入試情報、文部科学省の審議会情報をはじめ、先生方からお伺いした教育についてもご紹介します。
2024年10月、中高一貫の視点で作られた学校専用リスニング新シリーズ『Listening Compass』を発刊いたします。
キーワードは「5つの観点でリスニング学習を可視化する!」です。
本シリーズは、中学1年生~高校3年生まで、レベル別に利用いただけるもので、リスニング指導特有の難しさ、現場のお悩みに少しでも貢献できるように、先生方にヒアリングを重ねる中で実現した企画です。
本記事では、この企画の発端と、書籍の魅力についてご紹介させていただきます。
『Listening Compass』が目指すもの
まずリスニングの学習と指導はしばしば「可視化が難しい」と言われます。リーディングの学習などに比べ、「できない原因」には多様な要素が複雑に関わるので、生徒ごとの状況を的確に把握するのはとても難しいと、多くの先生方のお悩みを耳にしてきました。リスニング演習の数を増やせば問題は解けるようになるけれど、それは果たして『本当に聞き取れていることを意味するのか?』という疑問や課題感をお抱えの先生もいらっしゃると思います。
そうした現場の先生方のお声について社内で話し合う中で、「①リスニングのつまずきポイントを可視化」しつつ、「②語彙・表現の底上げにより、確実に意味を取れるよう学べる教材」を実現したい!という想いで、この企画は始まりました。
そうしてさらなるヒアリングを進める中で、高校生以上が対象のリスニング教材は多種多様な選択肢があるけれど、中学生対象のものとなると途端に選択肢が狭まり困っている、という実情が浮かび上がってきました。このため、今回のリスニング教材を「中高一貫」のシリーズ展開とすることで、中学校の先生方にもより多様な選択肢を提供できるようにするとともに、大学受験の直前期からではない、早期からの自然なリスニング力向上に貢献できるものにしていきたい、と制作を始めました。
中学段階におけるリスニング力の向上について
・個別最適な学び
中学生段階のリスニング学習・指導において特に重要になるのが、生徒が学習済みの文法範囲で構成された、適切なタスク設定です。中学1年生段階では、語彙・文法の習得度合いが熟達したレベルに達しているケースは少ないでしょう。小学英語での取り組みのように、活動の中で英語の音声に触れるのと、きちんと英文を聞き取って、考え、設問に答えるのとでは求められるものが異なります。
また困ったことに、リスニングプロセスで生徒の脳内で起こっていることは、他の技能より可視化されづらいと言えます。「聞いた内容を理解できているか」の手前には、「文法でつまづいていないか」「語彙は理解できているか」「そもそも音として聞き分けられているか」といった複数の観点があり、それらが「音声」という目に見えないものを介して行われるのですから当然です。問題ができなかった生徒を補助するにせよ、できている生徒をさらに伸ばすにせよ、単に問題演習をさせるのではなく、観点別に取り組むことで、上記のようなつまずきの要因も見えやすくなると思います。これは、「個別最適な学び」の実践という点においても重要です。しかし、これについて、個々の生徒の状況の把握もするとなると、紙のみで完結させる旧来のやり方では膨大な労力を要します。
そこで本企画では、それぞれの生徒、そしてクラス全体の傾向を把握しやすいよう、この書籍コンテンツを「Google Forms」に対応させ、「成績把握の仕組み」にも整合するように設計しました。各個人の端末環境を生かして、オンラインで配信・解答を行うことで、各項目の習熟度の可視化と、それに合わせた的確な指導が行えます。
・5つの観点の中核が「語彙」にある
そこで『Listening Compass』では、まず下記のように5つの観点を各Unitの演習に盛り込み、単元ごとでの進捗把握を可能にしました。
▲リスニングの5つの観点
「音素」「語彙」「文法」「短い文章の理解」「長い文章の理解」の5つの観点ですが、その中核は『語彙』にあると本企画では捉えています。
実物を見たらわかる、文字で読めばわかる、と「聞いてわかる」は別物です。「音素」「文法」も絡めつつ、この『語彙』部分を重点的に強化して、その次に、まとまった英文の中で学んだ内容を活かして問題に取り組む。このサイクルが、リスニング力の向上には効果的です。そのため語彙を中心に、音素とのつながりや文法の中での働きが確認できるように、導入ページを設計しています。
語彙・表現では、資格検定試験や日常会話で頻出であり、覚えればすぐに明日から使えるような表現について「オーセンティック表現」として、『言えたらCool!』というコーナーで積極的に取り上げる方針を取っています。例えば “Why not?”や “awesome”などを、解答解説で用法についてフィーチャーします。これらのオーセンティック表現は、文脈から理解できる程度で登場し、かつ、「言えると・使えるとかっこいい表現」として英語学習の動機付けとしても機能してほしいと考えています。旧来のリスニング教材には、知っている語彙・文法だけで構成し、その範囲内で理解を確認をする傾向が強い書籍もありますが、本書では、無理なく学べる範囲を見定め、より高いレベルへの接続も目指していきます。これは、中学・高校、という区切り方ではなく、中高一貫の視点を持つ学校専用教材だからこそ、できることだと考えています。
▲オーセンティック表現を学習の動機付けに
「学校現場の先生方のお声」での企画と制作
今回の「実際の現場の先生方のお声」をお伺いするにあたって、アンケートや個別にお会いしてのヒアリングを通して、実に80校以上の先生方から様々なお声を寄せていただきました。ご協力いただいた先生方にはこの場をお借りして心から御礼申し上げます。
そしてその中でも特に、廣瀬昂平先生(元:金蘭千里中学校・高等学校教諭)には、弊社の方向性に賛同をいただくとともに、実際に編集協力という形でお力添えをいただきました。廣瀬先生にはIntroductory I~IIIの原稿に目を通していただき、現場の先生目線で内容の方向性・難易度について数々のご助言をいただきました。また教材に取り組む生徒の皆さんに向けたコラム、音声問題のご執筆をいただいています。一連の制作を通し、中高一貫校の指導場面での視点やノウハウを、教材に落とし込むことができました。
廣瀬先生にもインタビューさせていただきました。
Q:この書籍を学校の先生におススメしたいと思うポイントは何ですか?
やるべきことの多い授業の中に、新たに教材を導入するのは難しい場合もあろうかと思います。ですが、本書籍は比較的軽めのボリュームで構成されていますし、採用特典のGoogle Forms等を活かせば、生徒の習熟度の把握も容易に行えます。先生方にかかる負担が少ないので、手軽にご導入いただけると思います。また、コラムにおいても、リスニング力向上に対する重要な点を、コンパクトに記載いたしました。ご指導する際にお役立ていただければ、嬉しい限りです。
廣瀬先生、ありがとうございました。
日頃、弊社の教材を使って指導される先生方との関わりの中で、こうした新しい教材を制作し、ご提案ができることはとてもありがたく、感謝の念に堪えません。
そしてこの記事を通じて少しでも本教材にご興味を持っていただけた先生方に置かれましては、ぜひ一度、見本を手に取ってご覧くださいませ。
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