教育&入試トレンドニュース【2022年11月号】

2022年11月1日

カテゴリー : 教育情報全般

さまざまな教育ニュースを毎月配信する「教育&入試トレンドニュース」11月号です。

主なニュース

【23区内の大学定員抑制 東京都が撤廃を要望】

10月18日、東京都の小池百合子知事が国に対して、東京23区の大学における定員抑制の撤廃を求める緊急要望書を提出しました。
2018年に成立した地方大学振興法によって、現在、東京23区内では学部の新設や定員増が認められていません。ねらいは人口の東京一極集中の是正です。地方の若者がどんどん東京に流出してしまう状況にブレーキをかけるため、地方の大学を盛り上げ、地方での若者の修学・就業を促そうとしたのです。しかし、東京都は当初からこの規制に反対し、撤廃を求めてきました。場所だけを理由に学生の選択や大学経営の自由を縛れば、学生から学びや成長の機会を奪うことになり、さらには大学の教育・研究体制の思い切った改革を遅らせ、日本の大学全体の国際競争力の低下を招きかねないという理由からです。
近年、日本の少子化・人口減少のペースは加速しています。若者の数の減少にともない、深刻な「定員割れ」に陥る大学も急増。全国の大学が生き残りを目指し、熾烈な学生獲得競争を繰り広げています。こうした状況のもと、大学の立地や定員をある程度は国がコントロールすべきなのか、それとも自由に任せるべきなのか。なかなか難しい問題です。

(参考)
▼東京23区の大学における定員抑制等に係る緊急要望 (東京都)

 

その他のニュース

◆9月29日:鳥取大学が2023年4月、工学部において医学と工学の両方を学ぶ「医工学プログラム」を新設することを発表しました。医療技術が高度化しているのに対応し、工学と医学の双方に精通し、最先端の医療機器を開発できる人材を育てるとしています。プログラムは工学部のうち機械物理系、電気情報系、化学バイオ系の学科に設けられ、定員は各学科で7人ずつです。

(参考)
▼中国地方の国立大学で初めて工学部に医工学プログラムを新設します。 (鳥取大学)

 

◆10月3日:文部科学省は大学への飛び入学者について、高校卒業者と同等以上の学力を有することを認定する「高等学校卒業程度認定審査」制度を創設し、審査の出願受付を開始しました。(11月4日まで。)従来は飛び入学すると高校は中途退学になり、その後の就職や資格試験受験で不利になる可能性がありました。こうした問題を解消し、飛び入学制度の活用を促すのがねらい。

(参考)
▼高等学校卒業程度認定審査について (文部科学省)

 

◆10月3日:立命館大学は正規の英語授業において、NTTドコモのグループ会社が提供するAI自動翻訳サービスを試験的に導入したことを公表しました。その背景には、近年、自動翻訳技術の進歩が目覚ましく、正統的な言語習得とは別に、翻訳ツールなども駆使したコミュニケーションスキル向上が求められるようになってきたことがあります。今後の検証結果が注目されます。

(参考)
▼大学の英語授業にAI自動翻訳サービスを試験導入 (立命館大学)

 

◆10月12日:情報処理学会は2025(令和7)年度大学入学共通テストで北海道大学、徳島大学など新科目「情報Ⅰ」に配点しないと予告する国立大学が出てきたのを受け、情報Ⅰを含むすべての受験科目に適切な配点を行うように強く求める見解を表明。なお、国立大学協会は2022年1月、2025(令和7)年度以降の一般選抜で「情報Ⅰ」を課すのを原則とする方針をすでに示しています。

(参考)
▼大学入学共通テストで「情報」を必須としつつ配点しない入試に対する本会の見解 (情報処理学会)

 

◆10月12日:文部科学省の有識者会議(第2回)で大学院生向けの新たな「出世払い」方式の奨学金について、制度設計が議論されました。在学中に授業料を徴収せず、その後の所得に応じて無理なく払ってもらうしくみで、オーストラリアやイギリスの大学教育で広く行われています。首相の諮問機関である教育未来創造会議が導入を提言し、まずは大学院段階から検討が始まりました。

(参考)
▼大学院段階の学生支援のための新たな制度に関する検討会議 (文部科学省)

 

◆10月14日:8月から統合に向けた協議を正式に始めていた東京工業大学と東京医科歯科大学が基本合意書を締結したことを発表。統合の効果を最大限にするため、「1法人1大学」形式での完全統合の道を選ぶことになりました。2024年度中をめどに、できるかぎり早期の統合を目指します。大学名も、新大学が目指す姿を反映した名前を考え、なるべく速やかに決定する方針です。

(参考)
▼国立大学法人東京工業大学と国立大学法人東京医科歯科大学の統合に向けた基本合意書を締結(東京工業大学)
▼国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学の統合に向けた基本合意書を締結(東京医科歯科大学)

 

◆10月21日:今年2月、文部科学省と国立教育政策研究所が大学生、短大生を対象に共同で行った令和3年度「全国学生調査(第2回試行実施)」の結果が公表されました。大学教育を通じて「外国語を使う力」が身についたと回答した大学生は全体の3割。また、近年重視されている「統計などデータサイエンスの知識・技能」に関しても全体の5割にとどまるなど、課題が浮き彫りに。

(参考)
▼全国学生調査 (文部科学省)

 

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