教育&入試トレンドニュース【2022年12月号】

2022年12月1日

カテゴリー : 教育情報全般

さまざまな教育ニュースを毎月配信する「教育&入試トレンドニュース」12月号です。

主なニュース

【東京工業大学が入学者選抜に「女子枠」を導入】

11月10日、東京工業大学は2024(令和6)年度入試から2段階に分け、総合型選抜と学校推薦型選抜で新たに「女子枠」を導入することを発表しました。2024年度・2025年度入試を合わせて143人を募集。総合型選抜・学校推薦型選抜で「一般枠」の他に「女子枠」を設け、女性は両方に出願できるしくみです。
日本の大学の理工系学部では、世界各国と比べても女子学生が非常に少ないのが現状です。東京工業大学でも学部課程で女子が占める割合は約13%に過ぎません(2022年5月時点)。「女子枠」導入により、女子学生の比率をまずは2割以上にするという目標を掲げています。
すでに名古屋大学や富山大学の工学部は学校推薦型選抜での「女子枠」導入を決めています。私立大学でも、以前から工学部で先駆的に「女子枠」を設けていた芝浦工業大学が2023年度入試からは全学部に拡大することに。また、2022年にスタートした奈良女子大学工学部をはじめ、女子大学に理工系学部を新設する計画も近年、相次いでいます。
文部科学省は令和5年度大学入学者選抜実施要項(2022年6月通知)において、入学者の多様性を確保する観点から「理工系分野での女子」等を対象とする選抜方式の導入を促しました。「女子枠」導入の動きはさらに広がりそうです。

(参考)
▼東京工業大学が総合型・学校推薦型選抜で143人の「女子枠」を導入 (東京工業大学)

 

その他のニュース

◆10月26日:毎年、世界大学ランキングを発表しているイギリスの大学教育評価機関クアクアレリ・シモンズは、「サステナビリティー(持続可能性)」に着目した初めての世界大学ランキングを発表。トップはアメリカのカリフォルニア大学バークレー校、2位はカナダのトロント大学でした。なお、日本からは東京大学が7位に入っており、アジアの大学としては最高の順位です。

(参考)
▼QS World University Rankings: Sustainability 2023 (Quacquarelli Symonds)

 

◆10月28日:日本私立大学連盟が「東京23区における大学規制に関する要望」を公表。2018年に成立した地方大学振興法により、現在、23区内の学部新設や学生定員増は認められていません。大学への規制ではなく、雇用創出と地方大学への財政支援こそが必要だとする立場から、連盟は国に対して改めて規制の撤廃と効果検証の提示を求めました。23区内の大学定員抑制については、東京都なども一貫して反対しています。

(参考)
▼私大連は東京23区の定員規制の撤廃を求めます (日本私立大学連盟)

 

◆11月2日:京都産業大学が文系・理系10学部が広大な一つのキャンパスに集まっているという特長を生かし、全学部生が履修可能な「アントレプレナー(起業家)育成プログラム」を2023年度からスタートさせると発表しました。全学生がデータサイエンス等を学べるプログラムを設ける動きはすでに全国の大学に広がっていますが、最近は起業家教育を充実させる動きも出てきており、注目されます。

(参考)
▼一拠点総合大学ならではの「アントレプレナー育成プログラム」を令和5年4月に始動! (京都産業大学)

 

◆11月9日:2022年4月から始まった高校での新しい学習指導要領に基づいて実施される2025(令和7)年度以降の大学入学共通テストについて、大学入試センターが現時点での検討状況、問題作成の方向性や試作問題等を公表しました。今回、公表された各教科の試作問題を見ると、新学習指導要領に沿って「知識よりも思考力・判断力や学習過程を重視する」方針がいっそう明確になっています。

(参考)
▼令和7年度以降の試験に向けた検討について (大学入試センター)

 

◆11月15日:国際卓越研究大学法が施行されたのにともない、文部科学省が基本方針を決定しました。日本の大学の研究力が低下してきている背景には深刻な資金不足があるため、今春に立ち上げられた10兆円規模の大学ファンドの運用益から、「国際卓越研究大学」に認定された大学に対して資金援助が行われます。国際卓越研究大学の公募は年内にも開始、審査結果は2023年秋ごろに公表される予定です。

(参考)
▼国際卓越研究大学法に基づく基本方針を決定しました (文部科学省)

 

◆11月16日:大学入試センターの得点調整検討部会が2025(令和7)年度以降の共通テストで導入するよう提言した新しい得点調整方式に関し、一般からの意見募集が始まりました。現在は同じ教科内の科目間で平均点に20点以上の差がついた場合、15点差まで縮める調整が行われますが、新方式は科目間の平均点だけでなく成績の段階表示での同じ段階の得点差についても一定範囲に収め、より公平性を高めます。

(参考)
▼得点調整の実施条件・方法の改善に関する意見募集について (大学入試センター)

 

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